5年経過　なかなかの難症例

 見ればわかる

 そんな難症例でございます

何しろまっ平らでした

 失われた組織があまりにも大きいため

そして　機能障害も抱えていたため

最終まで　リハビリ用に　三個も治療用義歯を作成いたしました

治療期間は　ほぼ　三か月

おかげさまで　現在は無事生活してらっしゃいます

それまでは　食べられず　辛い生活だったようですが

高齢社会の現在

ますます　難しいケースが増えてきております

その要因には　あわない義歯を無理して使うことによる

高度の顎の骨の吸収　　そして　噛み合わせの位置の変位がございます

まして　義歯安定剤でごまかす

これは　治療をますます困難にいたします

当然　完成までは紆余曲折

一筋縄には　進みません

一発完成出来るような　神技などなく

ある程度　リハビリが必要なことが多く

それだけに　まずはお互いの信頼関係が一番大切でございます

あわない　痛い　ダメ

このサイクルから抜け出さないことには　ゴールにはたどり着けません

ところが　QOLと言いながら

こんな　リハビリの考え方で　義歯を製作することが

健康保険の中ではできません

なぜならば　義歯は製作してから　半年は新しくできないからです

しっかりとした　計画の基になされるリハビリ

本人やご家族が望むと　望まないとにかかわらず

人生の終末でいわゆるチューブだらけにされ

結果高額な　まさに　半端ではない医療費が使われていることから考えて

むしろ　生きているうちに　元気に　楽しく暮らすための　必要な治療である

義歯に対する評価の低さには　唖然としてしまいます 

そんな中で　やたらと　在宅訪問診療ばかり推奨され

まさに　疾病や障害の　おおもとの蛇口は全開垂れ流し

手前で止めて　楽しく暮らす　

そんな　当たり前な対応さえ　施策として聞こえてまいりません

今のところは　ご本人による

自己責任に明らかにゆだねているのでございます

これは　結果を予想できて何もしない

完全に　法的に見ても不作為な状態と言えます

この点は　国民の皆さんとともに

現場を預かる歯科医師が声を大にして

アナウンスして行く必要がございます

偉そうなことを書きましたが 

そんな　視点からしばらく言いたいことを　機会をとらえて　言い続けてみたいと思います

さて　今宵も勉強会　またもや　合羽橋までまいります